BGMによってワインの味が変化するのは本当なのか
photo © 2010 Joe Lewis , Flickr
音楽が他の物質に変化を起こす可能性
モーツァルトを聴かせると野菜が美味しくなるとか、牛の乳が出まくったとかという話はよく聞きます。真偽のほどは別として、音楽が空気の振動を通じで別の物質に変化をもたらす可能性はなかなか面白いと思っています。音は空気の振動なわけですから、何か変化が起きても不思議ではありません。
イギリスの研究者がBGMでワインの味が変わると発表
さて、イギリスのとある研究者はワインとBGMの関係についてこんな研究をしたそうです。- 250人の男女半数の大学生を5つのグループに分ける
- 4つのグループはBGMを聴きながらワインを飲み、残りの1グループはBGMなし。
- 4つのグループのBGMは重厚、繊細かつ洗練、活発で明るい、落ち着いてソフトな音楽をそれぞれ聴く
- 飲むワインは2005年のカベルネソーヴィニヨンですべて同じもの
実験の結果は、BGMの印象がワインにも感じられたという傾向になりました。
つまり、重厚な音楽を聴いた生徒はワインも「力強く重厚」と判断し、落ち着いた音楽を聴いた生徒は「ソフトな味」と評価したということです。
音楽は感情や印象を変化させる力がある
研究結果からは、音楽の印象が味覚を変化させる理由として文化的な背景があるのか、音の物理的な特徴によるものなのかはわからないと結ばれています。もう一つの可能性として、音が人の感情・印象を起こし、それがワインにも乗り移った(影響された)というものです。
なぜ、この研究がそれに触れていないのかは不思議ですが、音楽は人の感情を動かし、それがその空間の印象や人の印象、今回のように口にするものの味まで変化しているに感じさせる力があるのです。
音は脳の中でも古い大脳辺縁系にズバズバと信号を送っていることがわかっています。
音楽を聴いて、気持ちいいと感じる快感は性行為や飲食のときに感じる快感と同じといわれています。
音楽が物理的な影響以外にも、影響力があるのはとても不思議ですね。
牛の乳が出まくるのは、牛が「うぉー、気持ちいいぜ」と思ってるのかもしれないということなのです。
この記事を書いている人
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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