カフェで仕事をするとクリエイティブなアイデアが生まれやすい理由
photo © 2010 Moyan Brenn , Flickr
多くの企業が「メンタルヘルス」に取り組むようになっています。企業には利益を出すことに加えて、従業員の健康も守らなくてはいけません。
その中で、BGMに目をつけて改善を図っている会社も増えてきました。オフィスの雰囲気を変えて、ストレスを緩和するには音楽の力を借りると良いかもしれないと気付いたところはすばらしいですね。
あのUSENさんもオフィス向けの音楽配信に力を入れているとのことですので、今後の動向が楽しみです。
日本のオフィスに心地よい音楽が流れて、気持よく働ける環境がひとつでも多くなることを期待しています。
さて、そんなオフィスへのBGMの導入ですが、悩みとしては大きく2つ。
- オフィスが静かすぎて周りが気になりストレスが溜まる
- うるさすぎて仕事に集中できず生産性が上がらない
この2つの悩みは相反するようですが、実は人間の性質をよく表しているものです。
今まで、経験的に私はこの2つの悩みを改善するようアドバイスをしてきたのですが、海外の実験でこれが証明されたようですのでご紹介します。
アメリカのイリノイ大学のラヴィ・メータ(Ravi Mehta)らは、私たちの周りに発生している音の大きさによって人間の脳がどのような影響を受けるのかという実験を行いました。
その結果、音がほとんどない静寂な状態では脳が刺激を受けず、また音がとても大きい場所においては脳が刺激を受けすぎて集中できない状態になることがわかりました。
教授によると、「静かでもなくまたうるさくもない、中間の音量が仕事をするには理想的」というわけです。
確かに、脳がほとんど刺激を受けない図書館のようなとても静かな場所では、斬新かつクリエイティブなアイデアが生まれるというのは難しいかもしれません。
逆に、電車の高架下で仕事を続けるのも無理な話。
やはり、適度に脳が覚醒(←これが重要)するカフェのような適度な雑音が流れている場所が仕事をするにはいいのかもしれませんね。
また、カフェに行くと自宅のように余計な誘惑に負けることもありませんのでそれも仕事がはかどる一つの理由かもしれません。
(個人的にはカフェに執筆作業に行くのはこの理由が大きい……)
ちなみに、ラヴィ・メータ教授によると70デシベルが適度な音量だとか。
最近ではスマートフォンで騒音レベルを確認できるアプリもありますので参考までに計測してみるのもおもしろいでしょう。
Audio Tools
ということで、職場のメンタルヘルスにおいてもBGMを導入するなら「適度に脳が覚醒する状態」を作れるようにアプローチすると良いと思います。
どちらかというと、静かすぎてストレスが溜まるという傾向が強いように思いますので、適度な音量でBGMを流すだけでもスタッフの生産性は上がっていくと考えられます。
ぜひ、職場でのメンタルヘルスにはBGMを。
この記事を書いている人
- Twitter:@fermondo
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新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
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