ショパンの覇者はなぜ古典派をレコーディングするのか
2005年のショパンコンクールの覇者ブレハッチはそれほど多くのCDリリースしていません。
ショパンコンクールで優勝したのにも関わらず、ショパンのCDはプレリュードとコンチェルトのみ。
簡単にはリリースせず、徹底的に一つの楽曲を磨き上げていくところが彼の天才と言われる所以なのかもしれません。
プレリュードは一度聴いてしまうと、もう他のピアニストにはいけないくらいすばらしい演奏です。
奇をてらうことがなく、極めて正統かつ端正な演奏で古典派への敬愛を感じます。
実際にショパン自身もバッハやモーツァルトをとても尊敬しており、常に自分の作品に意識していたといいます。
ブレハッチはショパンのCDをリリースせずに、プレリュードの後は古典派のソナタ集を出しました。
ハイドン、ベートーヴェン、モーツァルトのピアノソナタです。
ブレハッチは「私の演奏はどちらかというと古典派の演奏法の影響を受けているといわれます」と言っており、
立て続けにショパンをリリースせずに古典派ソナタを出したことは極めて自然なことなのかもしれません。
私もこねくり回すような、感情むき出しのショパンはあまり好きではなくブレハッチのような端正な整った演奏が個人的には好きです。
そんなブレハッチの古典派ソナタはやはりすばらしい。
むしろ、こういった曲のほうがブレハッチの本領発揮なのかもしれません。
ハイドンのソナタはいつか弾きたいと思っている曲でキーシンも迫力ある演奏も好きです。
そして、ベートーヴェンのソナタOp.2-2は大学の入試に弾いた曲で思い出深い曲でもあります。
あのときに、ブレハッチの演奏を聴いていれば少しは演奏も変わっていたかな……なんて。
Youtubeにベートーヴェンのソナタ3楽章スケルツォのレコーディングの様子がアップされていました。
とても貴重な映像です。
ブレハッチは、楽譜に込められた音色や感性をまっすぐに正確に表現しています。
それが、聴く者に新鮮な印象を与えるから不思議です。
とはいえ、ブレハッチのショパンのリリースも待ち遠しいですね。
エチュードが聴きたい。
この記事を書いている人
- Twitter:@fermondo
- 齋藤寛のFacebook(お気軽にどうぞ)
新潟大学教育学部芸術学科でピアノ演奏と音楽心理学を専攻。音や音楽が人の感情におよぼす影響について研究する。飲食店やオフィスなど商用BGMに関するコンサルティング、ビジネス書、専門誌への寄稿、医療学会での講演、ラジオ、テレビ、雑誌などメディア露出も多数。BGMアドバイザーとして音楽を提供する企業への協力や、個人向けに音楽心理カウンセリング(音で心を整える)をおこなうなどその活動は多岐に渡る。
著書に「心を動かす音の心理学」がある
最近の記事一覧
- 2015.06.10ピアノにまつわる話『ピアノ教室の法則術』が発売されました!購入者限定音声プレゼントもあります。
- 2015.04.13マスコミ取材関係新入社員の五月病を救え!BGMにできるメンタルヘルスケア
- 2014.12.13マスコミ取材関係オフィス街のお寿司屋さんのBGM ~スペースによって雰囲気を変える~
- 2014.08.25マスコミ取材関係会社の休憩室でのBGM選びのポイント
- 更新通知サービス 36 views
- 音環境コンサルタント-齋藤寛です。 42 views
- BGMでお店をブランド化 22 views
- 映像と音楽の関係 30 views
- ドライブに最適なBGM 24 views